あいさつ

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1999年度合同大会委員長 島村 英紀

 北海道大学が次回の合同大会を主催することになり、不肖、私が50年に一度の不幸(参考文献1)である大会委員長を引き受けることになった。
 会期は1999年6月8-11日である。前回の東大の主催で国立オリンピック記念青少年総合センターを会場にすることや全面的な電子化など、大きなレールがすでに敷かれてほぼ成功を収めていたので、北大としては、その成果を引き継ぐ形で行なえることは幸せである。
 北大が主催するにあたっての希望は、地球惑星科学の将来の展望や社会的位置づけを考えるきっかけにしたいことである。地球とその将来についての一般的な関心が高まっている折りであり、地球・惑星科学者としてのこの面での発言や寄与を奨励するために、これらに関連するセッション・シンポジウムの提案も歓迎している。

 ところで主催者としての北大の哲学のひとつは、主催はきちんとやるのはもちろんだが、なるべく主催者側の研究者の研究者としての負担を減らすという哲学である。学会の開催はもちろん重要なことだが、それを行なう研究者にとっては本業ではなくてあくまでボランティアの仕事にしかすぎない。
 北大が引き継ぐときに、先回の方式に問題がなかったわけではない。それは電子化の部分は寺沢敏夫さんらのほとんど超人的とも思える努力と能力によって初めて成り立っていた部分が大きかったからである。そのうえ、その仕組みをそのまま持ってきたとしても、そのまま次回に問題なく使えるわけではないことも予想された。
 また、次年度の主催は九州大学にお願いすることになっていることもあり、北大が主催するにあたって、今後どの大学の方でも使える仕組みにしておくことが有用と考えた。このため、じつは私たちの合同学会ほど進んだ電子化を行なった例は日本ではほとんどないのだが、せめてある程度の経験と熱意のありそうな業者に外注する形で電子化を行なうことにした。このやり方がうまく行けば、来年度以降も同じような形で運用することが可能になろう。この電子化の外注も、研究者の負担を減らすという上記の哲学の一環のつもりである。

 若くて優秀な人が増えた北大の地球惑星科学科だが、それでも人的資源は有限であり、東大のような大きな大学が出来ることが他の大学でも出来るわけではない。つまり、今回の私たちのやり方は来年度以降に主催する大学へ引き継ぐことが可能なはずのやり方なのである。
 合同学会は東京で開かれるので、抜けるような青空の北海道に皆さんをお迎えすることが出来ないことは残念である。 しかし、個別の学問の発表会としてだけではなくて、他の分野との切磋琢磨によって新しいビジョンや発想を得て帰っていただけるような合同学会にしたいと願っている。

(参考文献1)河野長「合同大会を主催して」
地球惑星科学関連学会連絡会ニュースNo. 16(1998年8月)

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